地質調査技士(現場技術・管理部門)を目指す

このページは、地質調査技士(現場技術・管理部門)を目指す人のために開設いたしました。 主に過去問の解答・解説、試験方法などについて記載していきたいと考えています。図書などを参考に記載していきますが、記載に誤りが含まれる可能性があります。 誤りがあった際はコメントをお願い致します。全地連では平成19年の過去問より無料公開していますが、出題された当時より改訂された物事があるため、基本的に過去問は新しい年より解答を載せています。

「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の 推進に関する法律」(土砂災害防止法)について

土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に関しては、過去問で何度か取り上げられたこと、また近年、ゲリラ豪雨等による土砂災害が増えてきていることから問題として取り上げられる機会も増えてくると思いますので、基本的なことを記載しておきます。

 

土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)で押さえておきたいポイントは、

  • 土砂災害警戒区域」(通称「イエローゾーン)と「土砂災害特別警戒区域」(通称「レッドゾーン」)を指定する。
  • 基礎調査終了の段階で住民に対しても公表することが義務付けられる。
  • おおむね5年に一度基礎調査を行う。
  • 急傾斜地の崩壊等が発生した場合、必要な措置をとることを勧告することができる。

の4点です。

 

他にも過去問で選択肢として出てきた項目はありますが、ここではこの4点に留めておきます。

それぞれの過去問のところで詳細は記載します。

 

また土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定基準については、以下の通りです。

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)
 急傾斜地の崩壊

  • 傾斜度が30度以上の区域
  • 急傾斜地の上端から水平距離が10m以内の区域
  • 急傾斜地の下端から急傾斜地高さの2倍(50mを超える場合は50m)以内の区域
  • 土石流の発生のおそれのある渓流において、扇頂部から下流で勾配が2度以上の区域
  • 地すべり区域(地滑りしている区域または地滑りするおそれがある区域)
  • 地すべり区域下端から、地滑り地塊の長さに相当する距離(250mを超える場合は250m)の範囲内の区域

特別警戒区域(レッドゾーン)
 急傾斜の崩壊に伴う土石等の移動・堆積により建築物に作用する力の大きさが、通常の建築物が土石等の移動に対して住民の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれのある崩壊を生ずることなく耐えることのできる力を上回る区域(ただし、地滑りについては、地滑り地塊の滑りに伴って生じた土石等により力が建築物に作用した時から30分間が経過した時において建築物に作用する力の大きさとし、地滑りの区域の下端から最大で60m範囲内の区域)

以下より、過去問の解説に入ります。

 

H28

3. 次は,「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

 

(1) 土砂災害が発生するおそれがある土地の区域を明らかにし,警戒避難体制の整備,一定の開発行為を制限し,建築物の構造の規制などを行う。

(2) 都道府県は,おおむね5年ごとに,「基礎調査」として,急傾斜地の崩壊等のおそれがある土地に関する地形,地質,降水等の状況及び土地の利用の状況などの調査を行う。

(3) 急傾斜地の崩壊等が発生した場合に,住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域を「土砂災害警戒区域」として指定することができる。

(4) 土砂災害警戒区域内で,建築物に損壊が生じ住民に著しい危害が生じるおそれがある区域では,建築物の移転を強制することができる。


正解は、(4)

以下、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律

第二十六条より引用。
第二十六条  都道府県知事は、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には特別警戒区域内に存する居室を有する建築物に損壊が生じ、住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれが大きいと認めるときは、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対し、当該建築物の移転その他土砂災害を防止し、又は軽減するために必要な措置をとることを勧告することができる。
とあります。
移転の強制ではなく、勧告するまでに留まります。

 

 

H27

3. 次は,「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

 

(1) 土砂災害から国民の生命及び身体を保護するため,土砂災害が発生するおそれがある土地の区域を明らかにし,当該区域における警戒避難体制の整備を図る。
(2) 著しい土砂災害が発生するおそれがある土地の区域において一定の開発行為を制限し,建築物の構造の規制に関する所要の措置を定める。
(3) 都道府県知事は,基本指針に基づき,当該都道府県の区域を分けて定める区域ごとに,土砂災害の急迫した危険が予想される降雨量(危険降雨量)を設定する。
(4) 都道府県知事は,当該区域に係る降雨量が危険降雨量に達したときは,土砂災害の発生を警戒すべき旨の情報(土砂災害警戒情報)を国土交通大臣に通知する。

 

正解は、(4)

都道府県知事は,当該区域に係る降雨量が危険降雨量に達したときは,土砂災害の発生を警戒すべき旨の情報(土砂災害警戒情報)を国土交通大臣に通知する。」という規定はありません。

通知等に関しては、以下のように法律に記載されています。

 

第五章 避難に資する情報の提供等
(土砂災害警戒情報の提供)
第二十七条  都道府県知事は、基本指針に基づき、当該都道府県の区域を分けて定める区域ごとに、土砂災害の急迫した危険が予想される降雨量(以下この条において「危険降雨量」という。)を設定し、当該区域に係る降雨量が危険降雨量に達したときは、災害対策基本法第六十条第一項 の規定による避難のための立退きの勧告又は指示の判断に資するため、土砂災害の発生を警戒すべき旨の情報(次項において「土砂災害警戒情報」という。)を関係のある市町村の長に通知するとともに、一般に周知させるため必要な措置を講じなければならない。

 

通知する相手は、国土交通大臣ではなく、関係ある市町村の長です。

 

H26

 

4. 次は,「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

 

(1) 「土砂災害」とは,急傾斜地の崩壊,土石流,地滑りなどを発生原因として国民の生命又は身体に生ずる被害をいう。
(2) 土砂災害が発生するおそれがある土地の区域を明らかにし,警戒避難体制の整備,一定の開発行為を制限し,建築物の構造の規制などを行う。
(3) 都道府県は,おおむね10年ごとに,「基礎調査」として,急傾斜地の崩壊等のおそれがある土地に関する地形,地質,降水等の状況及び土地の利用の状況などの調査を行う。
(4) 急傾斜地の崩壊等が発生した場合には,住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域を「土砂災害警戒区域」として指定することができる。

 

正解は、(3)

基礎調査は、おおむね5年に一度行います。