地質調査技士(現場技術・管理部門)を目指す

このページは、地質調査技士(現場技術・管理部門)を目指す人のために開設いたしました。 主に過去問の解答・解説、試験方法などについて記載していきたいと考えています。図書などを参考に記載していきますが、記載に誤りが含まれる可能性があります。 誤りがあった際はコメントをお願い致します。全地連では平成19年の過去問より無料公開していますが、出題された当時より改訂された物事があるため、基本的に過去問は新しい年より解答を載せています。

地すべりの素因と誘因について

まず「素因」と「誘因」について、一般社団法人斜面防災対策技術協会より引用・加筆します。

素因とは地すべりが発生する場所の地形や地質、地質構造、水文地質条件などが地すべりが発生しやすい状態にあることです。

  • 斜面の傾斜
  • 遷急線との関係
  • 移動土塊の地質
  • 地層の走向・傾斜
  • 断層・破砕帯
  • 変質
  • 貫入岩との関係
  • 地下水の集まりやすさ

などを検討します。

誘因とは地すべりが発生するトリガーとなるもので、自然的誘因と人為的誘因に分かれます。

 自然的誘因としては、一般に降雨や融雪に伴う地下水圧の上昇を誘因とする地すべりが多いのですが、ほかにも地すべり末端の土砂が小規模崩壊や河川による洗掘などによって喪失することによるもの、積雪荷重や地震によるものなど様々です。

 人為的誘因としては、斜面の切土や盛土、トンネル掘削などの土工によるもの、ダム湛水によるものなどです。

これを踏まえた上で、過去問をみていきます。

H28

28. 次は,地すべりの素因を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

(1) 破砕帯
(2) スレーキングしやすい泥岩
(3) 温泉変質帯
(4) 末端部の切土

 

正解は、(4)

素因とは、元から存在する原因を指します。
破砕帯、スレーキングしやすい泥岩、温泉変質帯は元から存在する原因のため素因となります。
末端部の切土は、後天的に発現した原因のため誘因となります。

H27

28. 次は,地すべりの素因を示したものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

(1) 地震
(2) 豪雨
(3) 破砕帯
(4) 切土

 

正解は、(3)

素因とは地すべりが発生する場所の地形や地質、地質構造、水文地質条件などが地すべりが発生しやすい状態にあることを指す。
例として温泉変質帯、破砕帯、第三紀層、片理面、流れ盤などがあります。
また地すべり発生のトリガーとなる要素を誘因といいます。
例として斜面の切土、豪雨、地震などがあります。

H25

24. 次は,地すべりの誘因を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

(1) 斜面の切土
(2) 破砕帯
(3) 豪雨
(4) 融雪

 

正解は、(2)

破砕帯は素因である。

H24

24. 次は,地すべりの素因を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

(1) 地震
(2) 流れ盤
(3) 片理面
(4) 熱水変質帯

 

正解は、(1)

地震動は誘因です。

H23

24. 次は,地すべりの素因を示したものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

(1) 地震
(2) 豪雨
(3) 片理面
(4) 切土

 

正解は、(3)

片理面は素因です。

H22

24. 次は,地すべりの素因を示したものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

(1) 地震
(2) 豪雨
(3) 温泉余土
(4) 切土

 

正解は、(3)

地震動、豪雨、切土は後天的な要因のため誘因です。